八神くんのお気に入り
あの日、目が覚めると、俺は病院のベッドの上にいた。
腕に飛び散ったガラスの破片を取ったって八神が言ってな。
ほんの数日前にやらかして怪我をした俺は、意識を取り戻すのも遅かったみたいだ。
病院を出る前に、俺達は怒られ、窓ガラスは弁償になった。
八神は“俺は関係ねぇ”って文句を言ってたな。
家に帰りたくなくて、そのまま俺は八神の家に行った。
八神の家に泊まりだして今日で3日目。
毎日のようにあいつから電話が掛かってくる。
「鳴ってるぞ」
そう言って八神が俺のスマホを持って来た。
「持ってくんな」
俺は八神に背を向けた。
はぁ。と、ため息が聞こえたと思ったら、八神はその場に腰を下ろした。
それと同時にスマホも静かになった。