八神くんのお気に入り
あいつと一緒に学校にいた記憶はある。
殴られる辺りからイライラし出して、あいつに手を出した時点で怒りがMAXだった。
そこまでの記憶はある。
ガラスを割った記憶も。
それ以降が曖昧で…思い出せねぇ。
すぐ近くでスマホが再び震え出した。
いつの間にか俺のスマホはソファの上に移動していた。
「……」
出たくねぇ。
早く鳴り止め。
「いい加減出てやれよ」
「……」
大きいため息の後、頭の方で振動していたバイブが消えた。
途端、後ろからこもったような声が聞こえた。
『原田!!もう!何してたのよ!!』
菫の声だ。
は?
電話に出たのか?
近くにいるせいか、
それともここが静かだから、
声が漏れてる。