八神くんのお気に入り
「おまえ絶対自分でなんとかしようとするよな」
触れて欲しくない言葉に、私は目を逸らす。
「助けを求めない理由あるんだろ?」
本屋といい
何で、いつもバレてんの?
「言えよ」
ここで意地を張って言わなかったら、原田は帰るだけ。
原田を帰らしたら、きっと2度と話すことが無くなる。
言うしかないんだね…。
「私、3つ歳が離れてる弟がいるの。
まだ小さかった私達は、いつものように2人で遊んでた」
私はチラッと原田を見た。
「ちゃんと聞いてる?」
「聞いてる」
「聞いてるんだったら相槌とか打ってよ」
「……」
……。
ま、いいや。
「庭で犬と遊んでたの。
大型犬でさ、私達より遥かに大きかった。
遊んでる内に楽しくて興奮したんだろうね…
飛びかかってくるのが怖くて、私が弟に助けを求めたの。
そしたら…弟が腕を噛まれた」