八神くんのお気に入り
どれくらい泣いただろう…
泣いてる間、原田は何も言わない代わりに、頭を撫でてくれてた。
もう充分泣いた。
ソッと顔を離すと、原田の服が濡れていた。
「…!!」
やば…泣きすぎた…
やらかした。
そう思ってチラッと原田を見ると、クシャッと笑ったんだ。
「バーカ」
照れ臭そうに見えるその笑顔は、ヤバイって。
普段、無愛想なくせに…
何よ、それ。
一気に距離が縮んだのかと錯覚するじゃん。
ドキドキ…するじゃん…!!
バカ…
「1人だけいてもいいだろ?」
「え?」
「菫が大切な人を守るために強くなるんだったら、その菫を支えるやつがいてもいいだろ?」
「…っ…」
だから、
そんな言葉反則だって。
せっかく止まった涙が、また溢れてくる。