八神くんのお気に入り

溢れる涙を、銀髪の彼は舐め出した。

「や、やだ」


「初めてだった?」


抵抗するんだけど力が強すぎてビクともしない。


「やっ離してっ…!」


抵抗しても止まらない涙に、銀髪の彼は舐め続けるんだ。


「んっ」


またキスが落ちてくる。

顔を動かして唇を離そうとするんだけど、追いかけてくる銀髪の彼。



「はっ」


息が苦しい。


「っはぁっ」


唇が離れた瞬間、これでもかってくらい息を吸う。


「やっと泣き止んだ」


っ…!


「息乱れすぎ。初めてだったんだ?」



チュッとおでこにキスが落ちてきた。


「おまえ可愛いな」


ポツリとそう呟いた銀髪の彼。


「名前、何?」

「あ、あおっ、葵ぃ…」

「また泣く」


零れた涙をペロッと舐める銀髪の彼。


「おまえの名前聞いてんの」


< 26 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop