八神くんのお気に入り
「その浴衣、似合ってるよ。莉子らしくて可愛い」
「ほんと…?」
「ほんとほんと!白い生地に淡い向日葵、淡い感じが爽やかで、ザ・莉子って感じ!」
顎に手を当てた菫がそう答えた。
“それに”って言って、菫はニッコリ笑った。
「柄にもよるけど黒だと莉子、キツくなりそうだから、そっちの方が柔らかく見えるから私は好き!」
「あ…ありがと…」
「あ、照れた?」
無言のまま頷くと、菫が笑い出した。
「あはは!2人して浴衣の感想言って何してんだろうね。品評会か!」
ツッコミまで入れる菫に、何だか私まで笑えてきて…
「さ、行こ。みんな待ってる」
もう、夕日が沈み始めてる。
菫の言葉に私達は神社に向かって歩き出した。