八神くんのお気に入り
人が多くて、動きにくいはずなのに
八神くんが通る道は人が避けてくれて…。
私はチラッと八神くんの横顔を見た。
真っ直ぐ見る力強い瞳。
綺麗な顎のライン。
透けるような銀色の髪。
屋台の明るさにピアスが反射して、キラキラ光っている。
かっこいいなぁ…
握ってくれる手が優しいとか…
八神くんの手が大きいとか…
時々当たる八神くんの肩とか…
そんなの意識しちゃったらドキドキが止まらなくなって…
「何か食べる?」
突然聞こえた声に、ビックリした私は勢いよく八神くんの顔を見た。
「俺、腹減った」
「私…やき…っ…」
途中で言葉を止めた私。
ずっと焼きそばが食べたかった。
でも焼きそばって…可愛くない。