八神くんのお気に入り
「ん?」
八神くんから視線を逸らす。
「何言おうとした?」
「えっと…」
下を向いて八神くんの目を見ないでいると、ムニッとほっぺたをつままれた。
「へっ…!?」
「隠し事は無しって言っただろ?」
少し不機嫌そうな表情の八神くん。
そうだった…
八神くんと寄り道した時、そんな事言ってたっけ…
恥ずかしくなってきた私は、八神くんの顔が見れなくて、視線を逸らした。
「ふぁい…」
八神くんには敵わないや。
つまんでいた手が離れ、真っ直ぐ視線を向けられる。
「えっと…ね、」
まだためらいがあって、チラッと八神くんの様子を伺う。
ドキッ
真っ直ぐ向けられるその力強い眼差しに、私は思わず視線を足元に逸らした。