八神くんのお気に入り
「そー言えばクロさん元気なんスか?」
「あ?ああ。相変わらずだ。あいつに女が出来た話知ってるか?」
「クロさんいつも女の人ているじゃないですか」
「ハハッ!それもそうだな!」
笑いながら言う髭の人に、八神くんも一緒になって笑い出す。
私の知らない話で、会話をする2人の顔を交互に見るだけしかできない。
わっ…!
バチッと髭の人と目が合った。
ニッコリと微笑み、その視線はすぐに八神くんの方に移動する。
「彼女?可愛いな」
「未来の。可愛いでしょ?」
「ハハッ!あいつと同じ事言ってるぞ」
「え、クロさんと?」
そう言った八神くんは“光栄です”と付け加えて、喜んでいた。
「はい。2つで600円ね」
話しながらも焼きそばを作っていた髭の人。
お金を払った八神くんは、袋に入った焼きそばを受け取る。