八神くんのお気に入り
「ほら泣かないで探すよ!」
私の肩を叩いて、転けたままの私を立たせようとする。
「泣いててもしょうがないでしょ?探しに行くよ!」
今度は力強く言葉を発し、私を立ち上がらせた。
立ち上がった瞬間菫は私の手を引き、歩き出す。
「行くよ!」
「み、みんなは?」
「莉子を1人にしてられないでしょ?」
私の手を引いて歩く菫が立ち止まり、振り返った。
「そんな事は気にしなくていいから!八神を見つけるよ!」
そう言った菫は再び私の手を引き、歩き出した。
「こっちに行ったんだよね?」
八神くんが歩いて行った方向を指す菫。
「うん」
「莉子に気付いて八神が戻ってくるかもしれないから、見落とさないようにね」
「うんっ…!」