八神くんのお気に入り
腕を引いて私の身体も起こし、涙を指で優しく拭いてくれる銀髪の彼。
「俺、もうちょっと小早川さんと一緒にいたい」
「へ…?」
「1日とかムリだわ。可愛すぎ」
そう言って銀髪の彼は真っ直ぐ私を見つめる。
ちょっと言ってる意味がわからないんだけど…?
「小早川さんの事もっと知りたい」
ドキッ
「ダメ?」
不覚にもドキッとしてしまった。
でも…
「わ、私は…帰りたい…」
今日、初めて本当の事を言った気がする。
ずっと我慢していた。
そう思ったらやっぱり涙が出て来て…。
「あ…悪い」
ポツリと呟いた銀髪の彼は、それ以上何も言わなかった。
可哀想なことしたかな…?
でも…
私は乱れたセーラー服を整えて、1人、部屋から出て行った。