八神くんのお気に入り

「心が綺麗なんだろ」

「え…?」

「綺麗なもん見て涙を流す。心が綺麗な証拠だろ」


え…?


八神くんの表情がどこか寂しげて…


まるで、神社で雨宿りした時と同じ…あの時の表情…



「やが…」


♪♪〜


急に聞こえた着信音に肩が飛び上がった。



「ご、ごめん…私の」


急いで携帯を取り出すと、ディスプレイに表示されていたのは菫の名前。



「あっ!!!」


思わず携帯に向かって叫んでしまった。



菫のこと忘れてた!!


私は急いで通話ボタンを押した。



「もしもし、菫…」

『八神いた?』

「うん。いる!」

『“いる”?今一緒にいるの?』

「あ、うん!」

『良かった〜』


携帯越しに聞こえてくる菫の安心した声に、菫のことを忘れてた私はほんと申し訳なく思う。



< 283 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop