八神くんのお気に入り
「菫、ごめんね?せっかくみんなといたのに…」
『良いって〜!でも見つかって良かった』
「ほんとありがとう」
『どういたしまして。まだ花火終わってないみたいだし楽しむんだよ』
そう言って菫は電話を切った。
切る前に、電話越しに菫を呼ぶ声が聞こえた。
きっとクラスメイトだと思う…。
ちゃんと合流出来てよかった…。
花火はクライマックスに入ったのか、次から次へと打ち上がって、空一面を明るくする。
最後は1番大きい花火が上がり、余韻を残す様に静かに消えていった。
「終わっちゃった…」
さっきまで私達がいた屋台が並ぶ道。
誰もいなかったのに、帰る人で人数が増えてきた。