八神くんのお気に入り
やっぱり八神くん…変。
「どうしたの…?」
そう問うのに、やっぱり返事が帰ってこない。
……。
八神くん…。
私は足下のゲタを見つめ、口を開いた。
「焼きそば屋さんで、八神くんが楽しいそうに話してる時、置いてかれてる気がしたの…」
八神くんにも友達がいて、高校生になって八神くんを知った私が、八神くんのことを知らないのは当たり前で…
「八神くんと逸れる前に、私、一生懸命八神くんの背中を追いかけた…。伸ばしても伸ばしても八神くんには届かなくて…八神くんが遠くに感じちゃった…」
悲しくなっていく気持ちを隠すために、へへって小さく苦笑いをした。
「このまま八神くんが私の知らない所に行ってしまうんじゃないかって…すごく怖かった」