八神くんのお気に入り
八神くんは強くて怖いイメージだった。
私達と住む世界が違うんだ。って。
喧嘩が強くて、そんな人達が集まる中で生きているんだって…
そう思ってたけど、
八神くんと一緒に花火を見ている内に、そんな考えは消えていった。
怖い先輩から助けてくれたり…
無くしたって言ったら、ぬいぐるみくれたり…
雨に当たってずぶ濡れになった私に、ジャージを貸してくれて…
逸れてしまった私を、汗をかいてまで探し回ってくれた…。
八神くん…本当は優しい人で…
いつの間にか、私の中で八神くんの存在が大きくなってた…。
「大事にしたい人が出来たの…」
そんな八神くんがいなくなってしまうなんて…嫌だから…。
「俺はどこにも行かねぇよ…
大事な人もいらねぇ…」
そう小さい声で呟いた八神くん。
…え?
八神…くん…?
急に…どうしたの…?
膝の上で突っ伏していて、八神くんの顔が見えない。