八神くんのお気に入り

八神くんは強くて怖いイメージだった。



私達と住む世界が違うんだ。って。


喧嘩が強くて、そんな人達が集まる中で生きているんだって…




そう思ってたけど、

八神くんと一緒に花火を見ている内に、そんな考えは消えていった。




怖い先輩から助けてくれたり…


無くしたって言ったら、ぬいぐるみくれたり…


雨に当たってずぶ濡れになった私に、ジャージを貸してくれて…



逸れてしまった私を、汗をかいてまで探し回ってくれた…。





八神くん…本当は優しい人で…




いつの間にか、私の中で八神くんの存在が大きくなってた…。



「大事にしたい人が出来たの…」



そんな八神くんがいなくなってしまうなんて…嫌だから…。




「俺はどこにも行かねぇよ…



大事な人もいらねぇ…」


そう小さい声で呟いた八神くん。


…え?



八神…くん…?



急に…どうしたの…?



膝の上で突っ伏していて、八神くんの顔が見えない。



< 287 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop