八神くんのお気に入り
八神くんをそうさせてる理由が知りたい。
そう思って、私は涙を拭った。
「私…八神くんのこと、もっと知りたい…!!」
あの日の帰り際に見た八神くんの悲しそうな表情の意味も、全部全部。
あの優しかった手が離れ、八神くんが真っ直ぐ私を見た。
「俺の領域に入って来ないで」
…っ!
初めて私に向けられた鋭い瞳。
ケンカをする時…いつも…その瞳なの…?
野獣のようで…睨んでるだけなのに恐怖心に駆られる。
怖い…。
怖いけど…
あんな八神くんを見た後だもん…
私だって引けない。
「助けてもらってばっかりじゃ嫌!私だって八神くんの力になりたいのっ!」
「そんなのいらない」