八神くんのお気に入り
大事な人
《 side-Kaede 》
光が入り込みにくい暗闇の中。
「ハァッハァッ…」
俺の前で倒れる人を見つめた。
「随分荒れてんな」
その声に睨みを入れる。
俺の周りで倒れてる奴らを見ながら原田が近寄ってきた。
おまえか…
「別に。あいつらが喧嘩売ってきただけだし」
額から流れる汗をグイッと拭った。
血が混ざってる…
さっき口ん中切ったからな…
倒れてる奴の胸ぐらを掴んで、体を持ち上げた原田。
「やりすぎだろ」
笑いながらそう言って手を離した。
「これ全部1人でやったんだろ?」
原田の問いに顔を背ける。
何人いようが関係ない。
歩き出す俺に原田は、楽しそうな声を出した。
「6人」
そう言って俺の後をついて行く。
知らねぇよ。そんなもん