八神くんのお気に入り
路地裏から表通りに出ると、明るさを強調するレジャー施設等の派手目な看板が目立つ。
キャッチは全て無視。
「小早川さんと喧嘩でもしたの?」
「別に。それよりちゃんと送ったんだろうな」
「あー…菫に頼んだ」
「はぁ?」
「俺が送るより女同士の方が良いだろ」
……。
「なぁ…何であんな電話よこしたんだよ?」
「……」
『あ、俺。ちょっと頼みがあるんだけど』
『は?何だよ』
『神社に来てくれないか?莉子を家まで送ってほしい』
『はぁ?!おまえがいるんだろ!?』
『……頼む』
『はぁ…わかったよ…』
数時間前の出来事を思い出して、ため息をついた。
隣で泣く莉子を置いて行った。
それが心残りで…後悔してる。