八神くんのお気に入り
小さくて可愛いリスのぬいぐるみ。
八神くんに貰った…私の宝物。
ぬいぐるみを見ると…八神くんの顔が浮かんできて…辛くなる。
「う…うぅ…」
顎を伝って、腕に涙が落ちてくる。
私は小さなぬいぐるみを抱きしめた。
私じゃダメ?
心細い?
思い出すのは、届かなかった八神くんの背中で…。
ほんの少しでも良いから…
八神くんの力になりたかった。
八神くんはずっと私のそばにいてくれたのに…助けられないなんて悔しいよ。
八神くん…嫌だよ。
離れていかないで。
置いていこうとしないで。
1人で抱え込まないで…。
あぁ…
私…八神くんの事…
好きなんだ。
こんなにも好きになってたんだ…。
そう思っても、私には何も出来なくて…。
ぬいぐるみを抱きしめて、ただ泣くしかなかった。