八神くんのお気に入り

小さくて可愛いリスのぬいぐるみ。



八神くんに貰った…私の宝物。




ぬいぐるみを見ると…八神くんの顔が浮かんできて…辛くなる。



「う…うぅ…」


顎を伝って、腕に涙が落ちてくる。


私は小さなぬいぐるみを抱きしめた。





私じゃダメ?


心細い?




思い出すのは、届かなかった八神くんの背中で…。





ほんの少しでも良いから…


八神くんの力になりたかった。





八神くんはずっと私のそばにいてくれたのに…助けられないなんて悔しいよ。





八神くん…嫌だよ。


離れていかないで。


置いていこうとしないで。



1人で抱え込まないで…。




あぁ…


私…八神くんの事…


好きなんだ。



こんなにも好きになってたんだ…。





そう思っても、私には何も出来なくて…。



ぬいぐるみを抱きしめて、ただ泣くしかなかった。



< 304 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop