八神くんのお気に入り
♪♪〜
突然鳴り出した携帯。
まだ6時過ぎなのに…。
出なくてもいいかなって思ったけど、表示されてるのが菫の名前で。
携帯を取り、通話ボタンを押した。
「……」
『こんな朝早くからごめん!莉子が心配で…』
菫の焦った声が耳に入る。
でも、私は何を言えばいいのかわからなくて…
「…」
『莉子…?』
「……」
『え?通話中だよね』
少し遠くに聞こえた声。
きっと画面を確認したんだ…。
ズッと鼻水をすすった。
『莉子!!…泣いてるの?』
我慢してるけど、涙が止まらなくて、返事が出来ない。
『莉子…家においで。話、聞かせて?辛いんでしょ…?』
「…うん…」
たったこれだけなのに…私の声は震えていた。