八神くんのお気に入り
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一通り話終えると、“飲み物持ってくる”。
そう言って部屋から出て行った菫。
部屋の窓から風が入ってくる。
朝が早いからか、少しだけ涼しい風。
こんな朝早くに家にお邪魔して、悪いことしちゃったな…。
菫の部屋で座ってるとドアが開いた。
「はい麦茶」
「ありがと…」
床に座る私と向かい合わせになるように、菫はベットに座った。
「いつも莉子と一緒にいた八神がねぇ…」
はぁ〜っと大きいため息を漏らし、話を続けた。
「中学の時の、八神の話をしたの覚えてる?」
「うん…不良になったの3年生からなんでしょ…?」
「そう。八神さ、始めの頃は普通だったの」
「そうなの?」
「楽しそうに友達と話してて、喧嘩なんかしなかった。
でも、半年くらい経った辺りかな…八神が学校に来なくなったの。
久しぶりに学校に来た八神はまるで別人みたいで…」