八神くんのお気に入り
八神くんの目が…怖かった。
隙間から見えた表情は…感情を抑えきれてなくて…
怒り、悲しみ…いろんなものに支配されてるみたいで…
八神くんが、八神くんでなくなってしまうような…そんな気がした。
力強く…ギュッと抱きしめる。
「俺は…帰るところも…ない…1人なんだ…」
「そんなこと言わないで…」
頬を伝って涙が落ちていく。
「私が八神くんの帰る場所になる。辛かったら、私がそばにいる。悲しくなったら、私が笑わせる」
だから…
そんなこと…言わないで。
「怖いんだ…。また俺のこと裏切るんじゃないかと思って…心を開けば開くほど怖くなる」
八神くんの傷が深いところにある。
思ったより深くて…届かなくて…
胸が苦しい。