八神くんのお気に入り
「弱いな、俺…。過去に囚われて…くそかっこ悪い」
八神くんから離れて、私は地面に膝をついた。
グイッと涙を拭き、両手で八神くんの顔を掴んで、真っ直ぐ目を見る。
「八神くんは弱くない。こんなに辛かった事、ずっと1人で抱えてきたじゃない。八神くんは強くてかっこいいよ」
切れ長の瞳に映る私の姿。
真っ直ぐ見つめていた視線は逸れ、
「…ごめん」
八神くんのが私の手を掴み、頬から離した。
「立ちな…」
え…
俯いたまま呟く八神くんの言葉通り、私は立ち上がった。
ダメ…だった…
助けられなかった…
ごめん…
みんな
目を閉じると涙が溢れた。