八神くんのお気に入り
「大丈夫。絶対、八神くんを1人にしない。みんなが離れて行っても私はそばにいるから」
「そう…だったな、莉子は離れないでいてくれた」
震える手で…八神くんはギュッと私を抱きしめた。
「ありがとう。莉子」
少しでも…
八神くんの気持ち、楽になったかな?
助けてあげられたかな?
「…っ」
どうしてだろう…
涙が止まらなくて…
八神くんがこんな辛い過去を持ってたなんて思わなくて…。
私にはお父さんもお母さんもいて…
それが普通で、当たり前で。
八神くんはどんな気持ちだったんだろう…。
どんな気持ちで学校に行ったんだろう
どんな気持ちでみんなに会ったんだろう
どんな気持ちで友達と喧嘩したんだろう