八神くんのお気に入り
菫がわざとらしく咳払いをした。
「えーっと話を纏めると、キーホルダーを探してると八神に会って、その八神に彼女のフリを強制的に頼まれた。八神の友達と合流して嘘がバレそうになったんだけど、何とか回避して、その後ラブホ行ってキスされた…合ってる?」
「うん…」
「てか、キスしたんだ。大丈夫?」
菫は心配して私の顔を覗き込むんだけど、無言のまま首を横に振った。
「あれから八神に会った?」
「ううん」
「そっかぁ」
「ずっとドキドキしてたの…頭から銀髪の彼が離れなくて…」
私は菫の腕をキュッと掴んで話を続けた。
「それって、吊り橋効果じゃないけど怖くてドキドキしてたのかな?それとも…好きになっちゃったのかな?」
「それはそうだよ、わかんないよね」
関わりたくなくて、会いたくないって思ってる。
でも…
銀髪の彼の事を考えてる私もいる…。