八神くんのお気に入り
小さいのにパチパチと綺麗に咲く花火。
「綺麗だね」
「ああ」
あっという間に消えてしまった線香花火。
もう1本やろうかな…。
そう思って手を伸ばした時だった。
「莉子危ない!」
菫の声が聞こえたと思ったら、ねずみ花火が私の所に来ていた。
「きゃっ!!」
逃げようとした私は、八神くんに躓いてバランスを崩した。
八神くんが受け止めて、転けずにすんだ私は…今、八神くんの腕の中にいる。
ドキッ
あわわわわっ…!
思考回路が追いつかない私に、追い討ちをかけるかのように抱きしめる腕に力を入れた八神くん。
「危ねぇからもう少し離れてやれ!」
「ごめんね!莉子」
そう言って菫達は離れて行くんけど…。
「や、八神くん?」
八神くんが離れてくれない。