八神くんのお気に入り
「いろんな莉子、俺だけに見せて」
…っ!
私は思いっきり目を閉じた。
だって、だって…
そんな事言われたら平静ではいられない。
心臓が飛び出そう。
そんな私に、八神くんは畳み掛けるような言葉を口にした。
「キス、していい?」
「!!?」
真っ直ぐ私を見つめる八神くんは、冗談で言ってる感じは無くて…。
え、
え、
耐えきれなくなった私は両手で顔を覆った。
その顔は、言うまでもなく熱い。
ど、どうしよ…
今までの八神くんは、突然キスしてくる感じだった…
なのに、どうして…??
「嫌?」
嫌…じゃない…けど…
でも…
八神くんに好きってわかって欲しい。
私はゆっくりと手を退け、八神くんを見つめた。