八神くんのお気に入り

チラッと佐々木くんを見るとプリントにさっき決まった金閣寺と清水寺の事を書いてて、携帯で調べたりしていた。


「休み時間だよ?」

隣の席で熱心に取り組んでる佐々木くんに声をかけると、チラッと1度だけ私を見た。


「小早川さんさ…」


プリントに書き写す手を止めず名前を呼んで何も言わないその間が、ちょっとだけ変な事を言われるんじゃないかと身構えてしまう。



八神くんの事とか…



「八神くんの事好きなの?」

「へ!?」


さっきまで動いていた手も止まり、私を真っ直ぐ見つめた佐々木くん。


ドキッと心臓が大きい音を立てた。


「あ、えっと……」


答えたくない。

そんな思いから私は下を向いた。


「やっぱ何でもないよ」

そう言われ、勢いよく顔を上げると佐々木くんいつものように笑ってて…。


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