八神くんのお気に入り
────…
放課後。
自由な時間になった教室は帰る人、寄り道をする人の声で騒がしくなった。
私も八神くんに連絡入れなきゃ。
【今日も集まりがあるので先に帰っててください】
コレでよしっ!
私は携帯をスカートのポケットに入れた。
「莉子ー今日も集会あるの?」
カバンを肩にかけながら菫が私の席に来た。
「うん。ごめんね!」
「なら、部活に行こうかなー」
「呼ばれてるの?」
「いや、逆に呼ばれなさ過ぎて心配で…原田の件があったし呼びにくいのかも……」
「あ、そっか…」
菫から原田くんの話は全部聞いてる。
後輩が怯えてたって言ってたもんなぁ…。
「様子を見る為にも行った方が良いのかも」
「やっぱり?じゃ、行ってくるね」
片手を上げた菫は急いで教室を出て行った。