八神くんのお気に入り
「ありがと〜!小早川さんと一緒で良かったっ!!」
そう言って、佐々木くんは私の手を両手で握り締めた。
「きゃっ…?!」
「感謝しかない」
なんて言ってるんだけど大袈裟だよ……。
「あ、そうだ」
何かを思い出したかのように佐々木くんは声を出した。
「??」
「小早川さんに渡す物があるんだ」
「へ?私に…?」
「そう」
ニッコリと、爽やかな笑顔を見せる佐々木くんなんだけど…私に渡す物って…身に覚えが無さすぎて頭には“?”がいっぱい浮かんでる。
「…なあに?」
「大事なもの」
それしか言ってくれなくて
「教室に戻ろ」
佐々木くんは席を立った。
「早く」
廊下まで出て振り返った佐々木くんは、ポカンとしてる私に急かすように声をかけた。