八神くんのお気に入り

目の前に出された手は拳を作っていて、どうやら何かを握っている様子。


佐々木くんはニッコリ笑ってて、その意図が何1つわからない。



「??」


受け取れるように、私はとりあえずその拳の下に両手を出してみた。



佐々木くんは握りしめていた手を緩め、コロンと私の手の上に落ちてきた物に一瞬幻でも見てるのかと思った。




だって、そこにはリスのキーホルダーがあったのだから。


少しだけ汚れてしまっているけど…キズの所とか見ると間違いなく私が持っていたキーホルダーだ。


いつの日か無くしてしまったお気に入りのキーホルダー。



「佐々木くんっコレ…!」

「無くしたって言ってたでしょ?偶然見つけたんだ」


ニッコリ笑う佐々木くんがもう神様に見える。



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