八神くんのお気に入り

「ご、ごめんね八神くん!」


止まる様子がなく、歩き続ける八神くん。

そのスピードに私は早足でついて行く。


怒ってるのかな…?


終わったって連絡してなかったし…。



たぶんクラスの人が戻ってきて、話し合いが終わったって気付いたと思う…。




何だか気まずくて、正門を出ても何も話せずにいた。


歩く足音だけが聞こえる。


「……」


な、何か…話さなきゃ……。


せっかく待ってるって言ってくれたのに…。



「八神くん…待ってる間、何してたの…?」


「なんもしてない」

「…そっか……」

「……」



うぅ…。


5秒で終わった。



絶対八神くん怒ってる。




「…なぁ」

「えっ?」


八神くんから声をかけてくれるなんて思わなくて、嬉しくて声のトーンが上がってしまった。


恥ずかしい…。


けど


「どうしたの?」


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