八神くんのお気に入り
少しずつ距離を縮めてくる八神くんにドキドキして私は一方、また一方と後ずさる。
「や、八神くん…?」
八神くんの顔が見れなくて、また一方下がった時だった。
「きゃっ?!」
円石に躓いて尻餅をついてしまった。
「いたたた…」
「大丈夫か?」
そう言って私の腕を引き、立ち上がらせてくれた八神くん。
お礼を言おうと顔を上げると、八神くんの顔がすぐ目の前にあった。
ドキッ
八神くんは伏せ目がちで顔の角度を変えた。
え……?
再び近付く距離に私はキスされるのかと思い力強く目を閉じた。
「惚れた弱み」
…へ?
ボソリと呟くような声に恐る恐る目を開けると、八神くんはもう私から離れていた。