八神くんのお気に入り
「ケバ…」
後ろから聞こえた声に振り返ると原田くんがいた。
あ、原田くんの格好……
ドキッ
原田くんの後ろにいる八神くんを見つけ、私の胸が高鳴った。
風に靡いて、銀色の髪の毛が透けてるみたい…。
かっこいいなぁ。
「ケバくないから!普通だから…!そーゆうあんたこそ何その服!」
「は?パーカーの何がダメなんだよ。普通」
私の胸のトキメキとは裏腹に、言い合いを始めた菫と原田くん。
この光景を見るのも日常茶飯事で、もう慣れっこになった。
これが俗に言う夫婦喧嘩…。
原田くんは菫の唇を拭い、綺麗に塗られているグロスを取った。
わっ…!
その動きが妙に大人っぽくてドキドキしてしまった。