八神くんのお気に入り

────…



「…さん、小早川さん!」

「へ?」

「聞いてる?小早川さん」

「あ…えっと…」



あれ…?


気付いたら銀髪の彼と中庭のベンチに座っている私。


人が1人、入るくらい空いている距離。





えっと…

もしかして私…恐怖心のあまり、放心状態で歩いてたのかな…?



どうやってここまで来たのか覚えていない。






「昨日は無理言って………ごめん」

「っ…!」


無言のまま私は首を振った。



「俺の名前知ってる?」

「へ?名前…?」

「うん」


知ってるも何も、銀髪の八神って有名ですよ…?





私が何も言わなかったから、銀髪の彼は先に口を開いた。


「八神って呼んでいいよ」

「…へ?」

「別に名前呼んだくらいで怒んねぇよ」



や、やっぱ聞かれてたんだー!!



私が気安く名前なんて呼べないって言ったから…!




「小早川さんなら楓でもいい」


< 42 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop