八神くんのお気に入り
真犯人
朝、下駄箱に向かうと菫の姿を見つけた。
「あ、莉子。おはよ」
「おはよー」
「しっかし驚いたわー。まさか2人両想いだったなんて」
「へへ、ね。私もビックリしちゃった」
「っと、噂をすれば……」
菫の声に顔を上げると、田中くんが教室に入る所だった。
「でも雛ちゃん大変そうよね」
「……?どうして?」
「いっつも山崎いるじゃん」
「あ……」
違和感はそれだったんだ。
何か、教室に入る田中くんがすごく変な感じで……。
物足りないと言うか、寂しいと言うか。
……納得。
「で?莉子はいつ言うの?」
「……へ?」
私……?
何を??
「八神よ。八神!」
「あぁ!」
そうだった。
私……八神くんに好きって伝えなきゃ……。