八神くんのお気に入り

「いつ、言おう……」

「なるべく早く言ったほうが良いんじゃない?八神は莉子のこと好きみたいなんだし。まぁ無いとは思うけど、もし八神が莉子を諦めるようなことがあったら……さ」

「それは嫌!!」


私は止めるように菫の腕を掴んだ。


「ほら、例えばの話!嫌なら早く言ったほうが良いよ」

「う……うん」


掴んだ菫の腕をゆっくり離した。


「今日は一緒に帰るの?」

「ううん。約束してない」


修学旅行が終わった日、来週は来るって言ってたけど……一緒に帰る約束はしてない。


今日だってまだ八神くんの姿見てないから来てるかどうか……。



「誘いに行きなよ?」

「へ!?」

「待ってるだけじゃなくて自分からも行きな」

「あ……う、」


自分から誘うとなると恥ずかしくて……いつも八神くんが誘わないと一緒に帰らなかった。



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