八神くんのお気に入り
あ、そう言われたらそうかも。
佐々木くん結構ギリギリに来てた。
「あ、佐々木じゃん。何買ったの?」
知らない顔の女の子が佐々木くんのビニール袋の中を覗き込んだ。
「パンだよ。適当に」
「これ美味しそう。これと交換ね」
そう言って女の子は佐々木くんのビニール袋からメロンパンを取り、代わりにペットボトルに入っている紅茶を入れていた。
その女の子は、じゃあね。って手を振りながら友達の所に戻ってて……。
「も〜。あの子、中学からああなんだ」
佐々木くんが呆れてる。
それもそうか。
メロンパンが紅茶に変わったんだもん。
「仲良さそうに見えたけど……?」
「好き勝手されてるだけ。俺を何だと思ってるんだか」
ふと視線をずらすと、ビニール袋を持ってない手には……お茶が。
何かすごく可愛そう。