八神くんのお気に入り
「俺あいつ嫌いだな」
「きゃあ!?」
急に声がして、再びビックリした私。
心臓が止まるかと思った……。
だって……
私の前の席に八神くんがいるんだもん。
「莉子に手出してんじゃねぇよ」
でも何か……不機嫌?
「や、八神くん今来たの?」
「あぁ」
「あれ?八神1人?原田は??」
「屋上」
「ふ〜ん」
っ!!
菫が自分から原田くんの話をした!
気になったんだ!
修学旅行の時、菫もカミングアウトしたもんねっ!
チラッと私を見た菫はため息をついた。
「あんたのそのキラキラした目、言いたいことが充分伝わってくる」
「えへへ」
「なあ莉子。明日帰りどっか寄らねぇ?」
「へ?あ、うん。いいよ!」
「じゃあ明日昇降口で待ってるから」
そう言った八神くんは立ち上がり、席から離れようとした。