八神くんのお気に入り
「え、あ…」
どうしよう…
殺されるって思ってたから、
そんな急に名前なんて…
「俺が怖い?」
ビクッ
気付けば銀髪の彼は、私の顔を覗きこんでいた。
そして…
視線を自分の足下に落として、ため息をついた。
「お願いだから怖がらないで」
ドキッ
いろんな噂を持ち、最強と呼ばれている彼。
昨日だって、自信に満ちた鋭い瞳に何もかも奪われそうで。
まるでこの世界に怖いものなんて無いような…。
そんな彼の弱い部分を見てしまった気がした…。
そんなギャップ
ずるいよ…
「俺と友達になって」
優しく、囁くような声。
でも
彼の言葉に唇を噛んだ。
「そんな困った顔するなよ」
困ったように苦笑する彼…
やっぱり悲しそうな顔をするんだね。