八神くんのお気に入り

「えっ……あ、待って!」

「ん?」


「あの……えっと……」


ドキドキして心臓がうるさい。

一緒に帰ろうって言うだけなのに。



「どうした?」

「あ……、今日……一緒、帰ろ?」


恥ずかしくて顔が見れなくてチラッと八神くんを見た。


「そんな可愛い顔すんなよ」

「へ?」

「昇降口で待つ」

「いいの??」

「断る理由がねぇよ」


八神くんの手が私の頭を撫でる。



わっ……


撫でる手が優しくて胸がキュンッてなる。


好き……だな……。




「莉子の可愛い顔、他の奴に見せたくねぇな」

「へ?」

「その顔、俺だけに見せて」

「……へっ!?」


八神くんがそんな事言うからドキドキが増してきて……顔も熱い。


「プッ真っ赤。じゃあな」


優しく微笑んだ八神くんは私の頭をワシャワシャして食堂を出て行った。


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