八神くんのお気に入り
「あーじゃあ小早川、悪いが理科室に運んでもらいたい物があるんだが」
「あ、はい。わかりました」
カバンの中に教科書を入れる手を止め、私は先生のもとへ走った。
先生の隣を歩き、職員室に向かう。
「先生、何を運ぶんですか?」
「明日の1時現に他のクラスで授業があるから、資料を運んでほしいんだ」
なるほど。
先生も大変だなぁ。
職員室につき、先生の後を追うように中に入った。
机の上には教科書みたいなのが山積みにされている。
「……」
もしかして、資料ってこれ??
「先生ちょっと用事があって、悪いが手伝ってやれない」
「あ、大丈夫です。帰るだけだったので」
「悪いな、小早川1人に任せて」
「大丈夫ですよ」
ニッコリ笑って何冊かにまとめて資料を持ち、職員室を出た。