八神くんのお気に入り
「あーあ。見つかっちゃった」
え……どういう、こと?
佐々木くんはニッコリ笑ってて……いつもと変わらなくて、私には理解が出来なかった。
と、言うより頭が追いつかない。
怖くて……見ちゃいけないものを見てしまった気がして、無意識にこの部屋から出ようとしてたんだと思う。
佐々木くんに腕を引かれ、部屋の中に追いやられた私。
「逃げないでよ」
なんて言って佐々木くんはドアを閉めた。
こ、怖い……。
爽やかで人気者の佐々木くんに、初めてそう思った。
「秘密にしといてくれないかな?」
ニッコリ笑う佐々木くんが、今はいろんな意味で怖い。
「嘘……だよ、ね??」
「これ持っててそう見える?」
主張させるかのようにマジックペンを振った佐々木くん。
信じたくない。
あの優しい佐々木くんが……。