八神くんのお気に入り
「最近八神くんの株が上がってるの知ってる?」
……え?
そんな話、聞いたことが無くて私は頭を横に振った。
「不良なのに、ヤンキーなのに……何で俺より話題になる訳?」
少しずつ近付いて来る佐々木くんに、私は後退りをする。
「ちょっと良い事しただけでかっこいいとか、ふざけてんの?話題の中心は俺だけでいいの」
1歩、また1歩と下がるとパキッと何かを踏む音がした。
急いで足を離すと、そこには携帯が。
大理石のスマホカバー。
それを見て、再び心臓の鼓動が早くなる。
「やっぱり八神くんのだって、わかる人にはわかるんだ」
得意げな表情の佐々木くん。
嘘じゃない……本当なんだ……佐々木くんが、例の犯人なんだ……。
「な、何でこんなことするの……?」