八神くんのお気に入り
や、八神くんだ……八神くんだ……。
怖かったけど、八神くんが来て安心したのか、力が抜けたようにその場に座り込んだ。
うっ……うぅ。
怖かった。怖かった。
涙が出てきて顔を両手で隠した。
「何してたんだ?返事によっては許さねぇから」
「小早川さんにキスマーク付けてた」
その瞬間鈍い音がして、顔を覆っていた手を離すと佐々木くんが殴られていた。
一瞬で青ざめる。
「ま、待って八神くん!!」
私は八神くんに抱き付いた。
「は?離せよ、最近こいつムカつくんだよ。莉子に手出しやがって。絶対許さねぇ」
「だめ!お願い……殴らないで……」
ギュッと八神くんを抱きしめる腕に力を入れる。
「何でそこまでして庇うんだよ……」
八神くんの声が悲しそうで、抱きしめる力を弱めた。