八神くんのお気に入り

「殴ったら、佐々木くんの思う壺なの……」


「どう言うこと?」

「犯人……佐々木くんだったの」


「もう遅いでしょ。痛〜」


佐々木くんは口の中を切ったのか、血を拭い八神くんを見た。



「殴れよ。ボコボコにしろよ。ムカつくんだろ?」


ギロッと八神くんが佐々木くんを睨む。



「ほら早く。小早川さんにキスマーク付けたんだよ?」


佐々木くんは自分の首を指す。


ココにした。って教えるように。




お願い、八神くん……殴らないで。


願うようにギュッと瞳を閉じると、手に温もりを感じた。



八神くんを見ると真っ直ぐ佐々木くんを見ていて……

「くだらねぇ」

私の手を引き、一緒に立ち上がった。



「おまえは殴る価値が無い。先生に言うなり、嫌がらせするなり、好きにしろよ」


そう言って八神くんは私の腕を引き、歩き出した。


< 441 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop