八神くんのお気に入り
「女手出されて何もしねぇのかよ。とんだ腰抜けじゃねぇか。そんなやつがかっこいいとか最強って騒がれてるなんてな。クズすぎて笑いが出るよ」
パチンッ
気付いたら八神くんの手を離し、私は佐々木くんのほっぺたを叩いていた。
「クズはどっちよっ……!!」
涙で視界がボヤけるのをグイッと袖で拭った。
「八神くんのこと何も知らないくせにバカにしないで!」
「逆に小早川さんは八神くんのこと知ってるの?」
「え……?」
「最近八神くんが裏でモテてること知ってる?小早川さんを助けるために噂を止めたとか、いつも睨んでるのに小早川さんの前では笑ってるとか……そんな話、知らないでしょ?」
「……知らない」
初めて聞いた……。