八神くんのお気に入り

「ほらっ……う、ムカついてんだろ?……殴、れよっ……」


再び八神くんが力を入れてるのがわかった。


だ、だめっ。


「八神くんっ……」




「はいストーップ」


その声に振り返ると

「原田くん……菫……!」

2人がドアの方に立っていた。



「これ、何だかわかる?」

そう言って原田くんは携帯を前に出した。




『ムカつくよね、持っていかれたみたいで。今まで俺の話ばっかだったのに』

『そ、そんなの八神くん関係ないじゃない!』

『関係ある。だから八神くんの物を落として犯人に仕立て上げて上手くいってたのに……全部小早川さんのせいだ。小早川さんさえいなければバレなくて済んだし、八神くんがモテることなんかなかった』

『いい加減にしろ!』



さっきの……やり取りだ。


「この動画見せたらどっちを信じるだろうね?」


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