八神くんのお気に入り
「莉子がそうしたいんだったらそれで良いよ」
八神くんっ……
「ありがとう!」
私は佐々木くんに向かって叫んだ。
「誰にも言わないから、許すから……もうあんな事しないでね!」
顔を上げた佐々木くんはすごく申し訳なさそうな顔をしていた。
「ごめん……八神くん、小早川さん……」
ボソリと呟いた声はしっかりと私達に届いた。
ほらね、やっぱり。
「佐々木くん、ちょっとやり方を間違えただけなんだ」
あの優しさが嘘だったなんて考えられないもん。
1年の時から佐々木くんと同じクラスで同じ係だったからわかる。
「佐々木くんの優しさは本物で、だからこそみんなに人気だったんだと思う」
「まぁその中に顔も入ってると思うけどね。て、言うかあんたほんと良い人すぎ」