八神くんのお気に入り
「あ、そう言えばコレ」
八神くんがゴソゴソと出してきたものは…
「お花…?」
一輪の白いマーガレットだった。
「女子って花とか好きだろ?」
八神くんは“友達になった記念”って言って私に差し出した。
茎の方が折れてて、明らかにどこかで摘んできたであろう事がわかるマーガレット。
あの八神くんがお花を摘んでるのを想像すると、なんだか可愛く思ってしまう。
「懐かしい…これって…」
私はすぐさま口を閉じた。
危ない。
八神くんのギャップに心を許してしまっていた。
くだらない事を言ってしまいそうだった。
「何?」
「いや…何でも…」
「俺ら友達だろ?小早川さんの話聞きたい」
「う…ぁ」
そんな、ど直球な言葉…。
照れ臭い。
私を真っ直ぐ見つめる八神くんからは逃げられない。